2022.09.06
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洗面台の話

こんにちは。大工の柏尾です。

今回は洗面台を調べる機会があったのですが、いったんまとめておこうと思いました。
以前、エアコンをまとめたことがあるのですが、同じ程度にまとめられたらいいなと思います。


今回調べたメーカーは、タカラ・TOTO・クリナップ・リクシル・パナソニック・トクラスの7種類です。

トクラスは聞きなじみが無いかもしれませんが、ヤマハの住宅部門が独立してできた会社で、もとはピアノで有名なあのヤマハです。
人造大理石が得意だそうで、キッチンやユニットバスもあり、しっかり大きな住宅設備機器メーカーです。
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さてまずは共通している情報からまとめます。
洗面台を部分的に分けると
ミラーキャビネット
ボウル
カラン
と分けられるかなと思います。

まずミラーキャビネットは鏡、収納、照明、コンセント等がまとまったパーツです。そもそも付けないこともできますし、鏡裏の収納で決め手になる事もあると思います。つけるときは電気工事が必要になり、キャビネットの裏か近くにコンセントが必要になります。

次にボウルですが、ほとんどのメーカーでボウルの高さは床から大体75センチ・80センチ・85センチの3パターンから選ぶと思います。
そしてボウルと収納の幅ですが、60センチ・75センチの2種類から選べ、横に収納を付けると90センチにできたりします。

そしてカランですが、いわゆる蛇口のことで、ほとんどのメーカーで混合栓になっており、レバーひとつで水とお湯の使い分けができるようになっています。
あと、カランは少しグレードを上げるとセンサー式にできるようです。コロナの影響でカランに触らずに水を使う需要が出てきているようです。

ちなみに、少し前まではカランのレバーを上げて水を止めるもの、下げて水を止めるものいろいろだったそうですが、いまでは下げて水を止めるタイプで統一しているそうです。詳しくわかりませんが、上から物が落ちてきて、水が出しっぱなしになるのを防ぐためという説があります。
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さて、まずボウルについて書きますが、今回一番ややこしく、まとまってない内容は、ボウル部分の材料の一つである『人造大理石』です。

洗面台のボウル部分の材質は、大きく分けて
・ホーロー
・陶器

・人造大理石
の3種類になります。

この人造大理石ですが、呼び方が『人造大理石』『人工大理石』と別れていたりします。大理石と名前がついていますが、大理石は使っておらず、そもそも石ではありません。
材料は樹脂を固めたものであり、石を粒にして入っている場合もあるらしいですが、人造と人工の使い分けに明確な定義はわかりません。
何にせよ、日常使う分には大差のない性能の様です。
製法によって大量生産が可能で、割と安価で売られることが多い印象です。

次に陶器ですが、焼いて作られる固い材質で、表面が強く、細かい傷やへこみはつきにくい材料です。その分割れると大きなひびが入り、ボウル全部を交換する必要が出てきます。

最後にホーローですが、ホーローは、鉄の表面をガラスコーティングしている材料です。ホーローの表面は陶器と同じくとても固いですが、衝撃でいきなり大きなひびが入ることはありません。ただ、瓶を落としたりして陶器なら割れてしまうほどの衝撃を与えた場合、ガラスコーティングが割れて、そこから中の鉄が錆びる事になるので、耐久力がどちらが上とは簡単には決められない状態になっています。

ちなみにボウルの形状ですが、後ろが高くせりあがっている形のものがあり、ミラーキャビネットとの継ぎ目を高く上げ、水はねで継ぎ目のパッキンが汚れないようにしてある商品もあります。
他にもボウルの外側に幅10センチ程の水平な、メガネなどが置けるスペースを作っている商品もあり、メーカーごと、商品ごとにいろいろな工夫が見られます。
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次にまとめるものはミラーキャビネットです。

先ず鏡は1枚か3枚かを選ぶことができます。
そして、1枚の時は両サイドは収納になり、コップなどを置く棚が付くのが一般的です。さて、鏡が3枚で、鏡の裏に収納があるものを選ぶとき、違いとしては鏡の開く方向です。両側の鏡を内向きに開くか、外向きに開くかを選ぶことができます。
たとえば中のものを取り出しやすさを優先すると外向きに開くタイプがいいですし、鏡がすべて内側に向いてほしい時は内側に開くタイプがお勧めです。
ちなみに、トクラスの洗面台は鏡の裏に鏡がついている商品もあり、5面鏡として使えるものもあります。トクラスは鏡裏の収納の底部分にスリットをつけて、濡れたコップを入れても大丈夫なように工夫した商品もあります。
他のメーカーでは、TOTOのミラーはスイング三面鏡という、両側は右にも左にも開く機能がある商品があります。

次に、照明の位置を3枚鏡の隙間に持ってきた商品もあります。
縦向きに細長い照明となっていて、身長に関係なく光が顔に当たる機能です。
パナソニックやトクラスはタッチレスで照明のオンオフができるなど、いろんな工夫がされています。

そして、コンセントを鏡の裏の収納の中に付ける工夫もあります。
右だったり左だったりいろいろですが、電動歯ブラシなどの充電する機械を、収納の中で充電できるという機能です。メーカーによって、外のコンセントが無い場合があるので、ドライヤーなどで外にもコンセントがほしい方はちょっと注意です。

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最後にまとめるのがカランと収納です。
メーカーによっても商品によって変わりますが、通常のレバー式かタッチレス水栓、壁だし水栓もあり、ほんとに工夫が様々です。
 タッチレス水栓は、例えば停電の時に水が使えないと困るので、カランの裏側の、収納の中から見える部品を操作して水が出せるようにしてあります。ただ、結構ややこしいので万が一の時は注意です。
 壁出し水栓は、ボウルとの境目に水が溜まりにくく、汚れにくい特徴があります。こちらもレバー式とタッチレスとあり、好みで選ぶことができます。
壁だし水栓の蛇口の先も引っ張り出してのばして使えるものがほとんどなので、ボウルの隅まで水で流すことができます。
ちなみにTOTOは、きれい除菌水を排水口に向けて吹き出す機能も付けることができ、排水口をきれいに保てるほか、使いおわった歯ブラシも除菌水で流すと、雑菌を抑えられる機能があるそうです。(除菌水をつくるカートリッジがあり、3〜5年一回とかで交換が必要なのだそうです。)

収納は、引き出し、開き戸の2パターンがあります。
一般に引き出しの方が価格が高いです。
タカラは扉がホーローになっていて、磁石が付くので扉のどこでもタオル掛け等が付けられることが特徴の一つです。
さらに、中までホーローの商品なら、熱いドライヤーも熱いまましまえる機能もあります。
クリナップはステンレスキャビネットとなっており、湿気の多い所でも丈夫で長持ちするキャビネットとして、使うことができるそうです。
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以上、だらだらとまとめてみましたが、結論は商品ごとに違いすぎてわからない、という事になるかもしれません。
ここまで読んでみて、ちょっと気になった機能が一つでもある方は、その機能を含んだ商品を探してみると、何もない所から探すよりは少し探しやすくなるかもしれません。
実際は洗面を買い替えるタイミングとしては水漏れが発生してすぐに変わりがほしい、だったり、車いすになって使いにくい、だったり結構選択肢が少ない状態かもしれません。車いす用の洗面は、下側に収納が無く、車いす用にボウルが浅く、床からのスペースを広くしています。気になる方は近くの工務店に聞いてみるといいと思います。

最後に選択肢を増やすことになりますが、工務店によっては自社施工で洗面を作ることもできます。鏡裏に収納はいらないし、水とお湯が出れば引っ張り出せるシャワーはいらない、と考える方は、自社施工の方がいいかもしれません。
人によっては変わった形のカラン(バナナの形の蛇口とか)が欲しい人は自社施工になります。


洗面化粧台は水道屋さんや電気屋さんが絡む難しい工事です。そしてほぼ毎日使うのでちょっとした工夫が結構大切な商品でもあります。ここまでまとめても、おすすめが絞れない、とても大変な項目でした。あと、ショールームに行っても水が出せるところはほぼなかったので、どのくらい水はねがあるのか、シャワーはどのくらい広がるのか、等はつけてみないとわからない、という、結構選びにくい商品なんだな、とも思いました。
専門家が結構悩むものです。これを読んでくれた方はご自分の家の洗面台が壊れる前に一度検討し、次に買う洗面台の方向性を少しでも決められたら、この日記が少しでも方向性を決める手助けになれば幸いです。

 
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